2008年1月28日月曜日

木枯らし2

負け犬や木枯らしの中餌拾ひ    洲外

木枯らしが逆撫でしたり負け試合

泣き虫の頬に木枯らし恨み節

2008年1月27日日曜日

熱燗2

独り居や熱燗だけが暖かい  洲外

熱燗を注いでみたり若布酒

痛む胃を熱燗じはり宥めをり



餅2

煎餅をぶつきらばうに嫁が喰ひ   洲外

丸餅は乳房に似たり子が騒ぐ

丸餅を割ればぬめつと縦に裂け

句作には切れが必要餅を喰ふ

木枯らし

凩に幽霊屋敷震へをり    洲外

どっちにするかな

凩に裸の脚が泣いてゐる

あつあつの焼き餅喉を灼いていく  洲外

餅を詰め我らと同じ歳が死に

餅を詰め死ぬ年頃となりたるか

熱燗

熱燗に冷えた肴の独り酒

如月句会

今朝の句

追ひ炊きの時間まちがへあつちつち

冬の朝はぶらしふたつキスをする


で、如月句会となった。
お題は凩、または木枯らし、餅、熱燗の三題。

木枯らしに裸の脚が泣いてゐる   洲外

2008年1月24日木曜日

申八新年歌会

申八新年歌会が終わった。終わった後がけっこう楽しくやっている。
まずは全作品を…

題詠「花」」
生きてるか生きたいやうに生きてるか花の中から遺影が笑ふ
はらはらと舞い落つ雪花春色に染めん想いも凍え届かず
一面のルピナス咲ける堤防にボートの声の跳ねて過ぎ行く
たはむれに春のうららと人はいふ競馬馬ではあるまいものを
黒猫の ひげより太い 鬼百合の 雄蕊や立てよ ここはフランス
花ならばぽつんぽつんと散り逝くか桜のやうにいかぬ此の国
虚子の句に君のつらぬく意志まぶし内省深く華ぞ咲かせむ
おのおのに色は見えねど花びらの群れて桜は山染めにけり
桜咲け桜咲け咲け全力で希望に満つる明日を信じて
自由詠
あらたまの年の初めに願ふことやくさあれども酔ひに消えゆく
そこまでは生きてられんと言いながら又買いに来る三年日記
やや酔うて電車の中で読む本のむつかしきこと目のまはりけり
三代の面影映ゆる孫の笑み家族揃いて心癒され 友からの 
飯寿司のうまさ 目を閉じる よも猫の縞 黄色い炎
やはらなる臥所にきみと微睡みて太古の海の陽だまりを見き
もの言はぬ時もよきかな父と子の話とぎれて蜜柑むきをり
あああれが観覧車だね米粒のやうなひかりにあはくときめく
Tシャツで冬のビル街闊歩せる彼女の心Backpacker

で、特選になったのは
題詠が
おのおのに色は見えねど花びらの群れて桜は山染めにけり    たき
自由詠が
やはらなる臥所にきみと微睡みて太古の海の陽だまりを見き    ゆういち
であった。

僕は題詠では
一面のルピナス咲ける堤防にボートの声の跳ねて過ぎ行く    ゆういち
が好きであった。上句は平凡だが、下句の殊に「跳ねて」がいいと思う。

2008年1月20日日曜日

塔に出ていた休呆の作品

君の名の上に京都と書いてある取り戻せない距離と時間と

ふるるるとマナーモードが胸揺する今夜は君の声が聴きたい

ちよつとだけあなたの声が聴きたいと聞き分けのないメールが届く

冷えかけた僕の心の温度など知らずに君はお喋りをする

窓開けて排尿をする目の前に隣家の瀟洒な玄関がある

今月はこの5首かい。相聞が入ったな。

冬の雨降り続いて居る丑の刻   洲外