2008年11月15日土曜日

狂ひ花

枯れ瀧に忘れ去られし狂ひ花

2008年11月9日日曜日

初氷

はつごほり頬の涙も凍てついて

はつごほり頬に涙の凍てつけり

帰り花

帰り花今夜の君は朱に染まり

帰り花あなたの肌に朱のさして

汝が肌に朱のさしていく帰り花

肌に朱のさしていく夜の帰り花

2008年11月3日月曜日

冬となりました。

初時雨頬を濡らすは悲しみぞ

朽ちてゆく街並みにほら冬の月

寒見舞二年続きの歳となり

2008年9月9日火曜日

野分け

野に遊び別れ蚊誘ふ生き血かな

残り香が我が楽しみや利き酒す

2008年9月6日土曜日

野分け


日本の気候分かつは谷川岳


能古島渡し船行く今朝の秋

三日月


新田郡三日月村の紋次郎


三日月を猪口に見立てて酒を呑み


未だ明き空に三日月早出かな


三日月や躊躇ひがちに夕間暮

桔梗


帰郷する鞄は重し桔梗かな

吉凶は帰郷次第と桔梗咲く

荒れ庭に君の植えたる桔梗あり

荒れ果てし野に一輪の桔梗かな

2008年7月15日火曜日

滝 その2

夫婦滝濡れて逢瀬も楽しけれ    洲外

隠里忍ぶ逢瀬の滝見茶屋

2008年7月13日日曜日

夏の季語


それぞれの思惑胸に暑気払ひ   洲外

幽霊が立ち話する葭簀かな

コンビニの素麺啜る孤食かな

雷が二人の仲を照らし出す   洲外

遠雷の幽かに動き犬怯ゆ

雷鳴を雷鳥と書き嗤はれる

2008年7月8日火曜日

滝 その1

滝川のジンギスカンに舌鼓   洲外

幻の滝見つけたり富士の山

富士山に幻の滝あるといふ

幻の滝にあなたは消えてゆき

鳴滝の学びの跡やタキの夢

2008年7月7日月曜日

滝、雷、夏の季語

文月句会は
滝、雷、夏の季語、のみっつだ。
難しいな。

2008年4月19日土曜日

ぜんまい

ぜんまいを白い背広で摘みに行く

紙爆弾なんぜんまいも配りをり

2008年4月18日金曜日

春の戯れ句

春の陽に発情したり猫と君

春の夢ビルの谷間によがり声

洲外が儚い恋を詠む春や


まあ、いんでないかい。

2008年4月7日月曜日

春の椿事

蜜蜂がランナー襲ふ椿事かな

2008年4月6日日曜日

ぜんまい

誰ぞ知る薇の花汝が心

ぜんまいを煮浸してゆく恋は捨て

泣くなよとぜんまいが言ふ筈もなし

当季雑詠

湯が熱い慌てふためく浅蜊かな   洲外

締切がまた過ぎてゆき桜散る

結ばれぬ恋であるゆゑ桜かも

春の夢ビルの谷間によがり声



石鹸玉木の間を過ぐるうすうすと   水原秋桜子

まぐはひの神にぜんまい伸び上がる  伊藤通明
・ううむ、なかなか。

ぜんまいを煮しめて君の帰り待つ    洲外

ぜんまいを食べなくなつて新世紀

薇の灰汁抜くやうに恋をする

春の草

春草の匂ひに君が欲しくなり  洲外

春の草君に戦は似合はない

4月だ

「ぜんまい(薇)」
「春の草・春草(しゅんさう)」
当季雑詠

難しいな。

2008年2月11日月曜日

紀元節

紀元節祝うてくれるな酒は呑め

ノラ・ジョーンズが囁くやうに紀元節

紀元節何も知らない阿呆がをり

2008年2月9日土曜日

熱燗3

熱燗や酒屋の親爺首を振り

吟醸酒熱燗にして飯にかけ

熱燗に身悶へてをり若布酒

2008年2月5日火曜日

かなしきはひとのつきあひだましあひないてるうちにきみはどすけべ

いちやいちやと戯れてゐる冬の鯉

二時となりストーブの傍ビール飲む

湯豆腐に夜更かしの罪なすりつけ

ジャスミンの花しつかりと実を結ぶ

花落ちて緑の葉のみ色気だし

汝が村や
元気な春を偲びけり

玄界の浦黄昏れて独り立ち

対岸の火事わらわらと冬時雨

2008年1月28日月曜日

木枯らし2

負け犬や木枯らしの中餌拾ひ    洲外

木枯らしが逆撫でしたり負け試合

泣き虫の頬に木枯らし恨み節

2008年1月27日日曜日

熱燗2

独り居や熱燗だけが暖かい  洲外

熱燗を注いでみたり若布酒

痛む胃を熱燗じはり宥めをり



餅2

煎餅をぶつきらばうに嫁が喰ひ   洲外

丸餅は乳房に似たり子が騒ぐ

丸餅を割ればぬめつと縦に裂け

句作には切れが必要餅を喰ふ

木枯らし

凩に幽霊屋敷震へをり    洲外

どっちにするかな

凩に裸の脚が泣いてゐる

あつあつの焼き餅喉を灼いていく  洲外

餅を詰め我らと同じ歳が死に

餅を詰め死ぬ年頃となりたるか

熱燗

熱燗に冷えた肴の独り酒

如月句会

今朝の句

追ひ炊きの時間まちがへあつちつち

冬の朝はぶらしふたつキスをする


で、如月句会となった。
お題は凩、または木枯らし、餅、熱燗の三題。

木枯らしに裸の脚が泣いてゐる   洲外

2008年1月24日木曜日

申八新年歌会

申八新年歌会が終わった。終わった後がけっこう楽しくやっている。
まずは全作品を…

題詠「花」」
生きてるか生きたいやうに生きてるか花の中から遺影が笑ふ
はらはらと舞い落つ雪花春色に染めん想いも凍え届かず
一面のルピナス咲ける堤防にボートの声の跳ねて過ぎ行く
たはむれに春のうららと人はいふ競馬馬ではあるまいものを
黒猫の ひげより太い 鬼百合の 雄蕊や立てよ ここはフランス
花ならばぽつんぽつんと散り逝くか桜のやうにいかぬ此の国
虚子の句に君のつらぬく意志まぶし内省深く華ぞ咲かせむ
おのおのに色は見えねど花びらの群れて桜は山染めにけり
桜咲け桜咲け咲け全力で希望に満つる明日を信じて
自由詠
あらたまの年の初めに願ふことやくさあれども酔ひに消えゆく
そこまでは生きてられんと言いながら又買いに来る三年日記
やや酔うて電車の中で読む本のむつかしきこと目のまはりけり
三代の面影映ゆる孫の笑み家族揃いて心癒され 友からの 
飯寿司のうまさ 目を閉じる よも猫の縞 黄色い炎
やはらなる臥所にきみと微睡みて太古の海の陽だまりを見き
もの言はぬ時もよきかな父と子の話とぎれて蜜柑むきをり
あああれが観覧車だね米粒のやうなひかりにあはくときめく
Tシャツで冬のビル街闊歩せる彼女の心Backpacker

で、特選になったのは
題詠が
おのおのに色は見えねど花びらの群れて桜は山染めにけり    たき
自由詠が
やはらなる臥所にきみと微睡みて太古の海の陽だまりを見き    ゆういち
であった。

僕は題詠では
一面のルピナス咲ける堤防にボートの声の跳ねて過ぎ行く    ゆういち
が好きであった。上句は平凡だが、下句の殊に「跳ねて」がいいと思う。

2008年1月20日日曜日

塔に出ていた休呆の作品

君の名の上に京都と書いてある取り戻せない距離と時間と

ふるるるとマナーモードが胸揺する今夜は君の声が聴きたい

ちよつとだけあなたの声が聴きたいと聞き分けのないメールが届く

冷えかけた僕の心の温度など知らずに君はお喋りをする

窓開けて排尿をする目の前に隣家の瀟洒な玄関がある

今月はこの5首かい。相聞が入ったな。

冬の雨降り続いて居る丑の刻   洲外