2008年1月24日木曜日

申八新年歌会

申八新年歌会が終わった。終わった後がけっこう楽しくやっている。
まずは全作品を…

題詠「花」」
生きてるか生きたいやうに生きてるか花の中から遺影が笑ふ
はらはらと舞い落つ雪花春色に染めん想いも凍え届かず
一面のルピナス咲ける堤防にボートの声の跳ねて過ぎ行く
たはむれに春のうららと人はいふ競馬馬ではあるまいものを
黒猫の ひげより太い 鬼百合の 雄蕊や立てよ ここはフランス
花ならばぽつんぽつんと散り逝くか桜のやうにいかぬ此の国
虚子の句に君のつらぬく意志まぶし内省深く華ぞ咲かせむ
おのおのに色は見えねど花びらの群れて桜は山染めにけり
桜咲け桜咲け咲け全力で希望に満つる明日を信じて
自由詠
あらたまの年の初めに願ふことやくさあれども酔ひに消えゆく
そこまでは生きてられんと言いながら又買いに来る三年日記
やや酔うて電車の中で読む本のむつかしきこと目のまはりけり
三代の面影映ゆる孫の笑み家族揃いて心癒され 友からの 
飯寿司のうまさ 目を閉じる よも猫の縞 黄色い炎
やはらなる臥所にきみと微睡みて太古の海の陽だまりを見き
もの言はぬ時もよきかな父と子の話とぎれて蜜柑むきをり
あああれが観覧車だね米粒のやうなひかりにあはくときめく
Tシャツで冬のビル街闊歩せる彼女の心Backpacker

で、特選になったのは
題詠が
おのおのに色は見えねど花びらの群れて桜は山染めにけり    たき
自由詠が
やはらなる臥所にきみと微睡みて太古の海の陽だまりを見き    ゆういち
であった。

僕は題詠では
一面のルピナス咲ける堤防にボートの声の跳ねて過ぎ行く    ゆういち
が好きであった。上句は平凡だが、下句の殊に「跳ねて」がいいと思う。

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